5年先のラブストーリー-この世のしるし-
第二章-ときめきの向こう側-

-強い思い-



二人が再会してから数日が過ぎた。


直樹の勤務態度は以前に比べると幾分良くはなった。


けれど、それは何かをひた隠し無理して仕事に打ち込んでいるかのようだった。


それでも、周囲から見れば明るくなった姿は大歓迎だった。


中でも直樹に好意を寄せる水野陽子(20)は特別だ


今年入社したばかりの陽子は少しそそっかしいお茶目なニューフェイス。


久しぶりの元気な姿に喜びを隠し切れず、飛びつくように声をかけると、直樹もとびきりの笑顔で答えた。

そこへ険しい形相でデザイン室・室長の近藤が入って来た。


近藤とは社内のみならずジュエリー業界においても、その名を知らない者はいない程の実力者で、人格共に申し分のない人物だ。


その近藤は直樹の持つ絵の感性に大きな期待を寄せていた。
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