高飛車女と副会長
なーんて言ったらまた殴られるから言わねえけど。

中野は去年、俺のオヤジの会社に雇われ、この家にやってきた。
その前の専属の付き人は、口うるさい５０代のオッサンでとにかくうざかったので、若い専属が来ると知った時、心底ホッとした。

年が近い奴の方が、物分かりがいいとふんだからだ。
が、実際に来たのはとんだ二重人格者。

けれど、中野は嫌いではない。
何故なら、俺を坊っちゃん扱いしないからだ。
金持ちの子供だとか、権力者の長男だとかで特別扱いを受けるのは大っ嫌いだった。
それなら、どんな酷い奴でもいいから作った自分で接してこない奴の方が、よっぽどましだ。

だから、中野はちょうど良かった。
勤務時間の間は、完璧な専属付き人だが、それ以外は俺と対等に向き合ってくれる。
　素でいてくれる。
< 6 / 50 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop