高飛車女と副会長
それがよかった。

「あーあ。早くこの家出てぇなぁ。」

これは俺の口癖だった。

俺は、縛られない生活がしたかった。普通の生活がしてみたかった。

休日は友達と遊んだり、部活だってしたかった。

そのどれもが叶わないんだ。この家に居る限り。

母親はとんだ過保護で、父親は成績しか頭にない男。
自由なんて許されなかった
幾ら金があったって、青春時代がこれじゃ、俺もろくでもない大人になり下がるだろうな。

首をだらんと後ろにそらす。
高級さが漂うシャンデリアが視界に入る。

…ぶっこわしてぇ。

「なぁ。」
俺はそのままの格好で、首だけひねった。

視線の先には、面倒くさそうに俺の部屋を掃除している中野の姿。

薄情な奴め。

「なぁってば!!」

さっきより、かなりトーンをあげてみる。

案の定、鬼のような表情をした中野が掃除機片手に振り返った。

「うっせーよ!今部屋掃除してやってんだから話しかけんな!!」

更に言い返されてしまったが気にしない。

「シャンデリア。」

「あ!?」

「シャンデリア、壊してくんない??」

そう言って、天井を指さす。
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