紅い記憶
「中1まで?ということは、僕は中3だから…、僕を引き取ってくれた親戚が、幼い頃に桜だけ孤児院に連れて行ってしまった事は知っている。」





「知っている、って、じゃぁ、どうしてその時桜の所へ行ってやらなかった!!どうしてこいつを一人きりにした!!
どうして今まで探さなかった!!」





「…稔。ありがとう。でも、やめて…怒らないで…、どういう事情があったのかわからないじゃない。それに…もう昔の事で誰も傷つかせたくないよ…。」



 桜がよろよろと立ちあがった。





「桜。…ごめんな。迎えに行くのが遅くなって。」



 和樹はそう言いながら桜の方に近づこうとした。


 が、稔がそれをそう易々とさせるはずがなかった。

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