運命

校門裏に向かうと憂は既に待っていた。
『憂!き、来たよ!!』
『お!悪いな!!急に呼び出したりして。』
『いや、別に‥。てか、しばらく部活ほっぽりだして何してたのよ!!』
『いや…わりい。ちょっといろいろあってな‥。』
『いろいろって‥？』
『言えねー。』
『何でよ！教えてくれたっていいじゃん！』
『すまん。てか、俺が呼び出したんだから俺の話聞けよ!!』
『あ、ごめん！で、用って何？』
『あ、あの‥さ‥』
『何？』急に憂は口ごもってしまった。
『だから‥今‥好きな人‥おる‥？』
何を言い出すかと思ったら‥
『何？急に？』
『だから今好きな人おるんかって聞いてんだよ!!』
『い､居ないよ!!』
『そ‥そうか。なら良かった。』
『一体何なの？』
『男として二言はない！はっきり言う。俺はおまえのことが好きだ！』
『‥えっ？い､今何て‥？』
唐突に言われた言葉。私に向けて言ったのかと問いかけたくなるような言葉。
憂はもう一度言った。
『おまえのことが好きだ』と。
『ちょ、ちょっと待ってよ!!何で私なの？』
頭が回ってない感じで憂に問いかけた。
『中学から好きだった。おまえの‥その‥明るさが好きだった。だけど言う勇気がなくて言えなかった。今のいままで‥』と憂は私の質問にこう返してくれた。
『で、でも何で今なの？』
『それは‥俺の決心がつかなかったから‥』
『‥‥‥‥』
何も言えなかった。言えるはずがなかった。だって憂は‥私の幼なじみだから。
『は、話はそれだけだから！返事はいつでも待ってる。今日は部活行かないからそう言っといてくれ!』
『え､あ、ちょっと‥』 行ってしまった。
私は、しばらくそこに佇んで考えていた。
憂は幼なじみで恋って言うものを考えてなかった。まさかぅちのことを好きになるなんて夢みたいな話だ。
そんな‥夢みたいな話‥‥。
しばらくぼーっとしていた。
部活に戻りたくない気分だ。
戻ったってやる気が出ないし。
私は、そう考え教室に戻り重たい足取りで家に帰った。