みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「なぁ、美佳。一生のお願いやけん、ボクの代わりに絵を描いてくれんとぉ?」
そない言うてウチに手を合わせはる彼女。
ウチは慌てて「そ、そんなの無理やっ……」って答えた。
「もちろん全部描いてとは言わんけん。下書きだけ。雑でいいけん、下書きだけチャッチャッと描いてくれん?」
「でも……」
「描いてくれたら、こないだ美佳が読みたがってたボクのマンガ全部貸しちゃるけん。な、いいやろ? お願いやけん」
「全部?」
「うん。全部」
正直ウチは考えてもうた。
ほんで考えたすえ「ヤッパでけん」と答えた。
たとえ下書きだけとはいえ、ウチが一葉の絵を描いたりしたら、先生かて当然そのことに気がつくと思ったさかい。
「チェッ、美佳のケチ!」
それだけ言うと諦めたんか、おとなしぅ絵を描きはじめる一葉。
せやけど、それからしばらくして、何げに一葉の絵を覗き込んだウチは、彼女の絵を見て思わず声を上げそうになった。
そない言うてウチに手を合わせはる彼女。
ウチは慌てて「そ、そんなの無理やっ……」って答えた。
「もちろん全部描いてとは言わんけん。下書きだけ。雑でいいけん、下書きだけチャッチャッと描いてくれん?」
「でも……」
「描いてくれたら、こないだ美佳が読みたがってたボクのマンガ全部貸しちゃるけん。な、いいやろ? お願いやけん」
「全部?」
「うん。全部」
正直ウチは考えてもうた。
ほんで考えたすえ「ヤッパでけん」と答えた。
たとえ下書きだけとはいえ、ウチが一葉の絵を描いたりしたら、先生かて当然そのことに気がつくと思ったさかい。
「チェッ、美佳のケチ!」
それだけ言うと諦めたんか、おとなしぅ絵を描きはじめる一葉。
せやけど、それからしばらくして、何げに一葉の絵を覗き込んだウチは、彼女の絵を見て思わず声を上げそうになった。