契約の恋愛
興味深々で身を乗り出す雪葉から、顔をそらす。

…そう来るのかよ。

眉間のしわをあわてて直す。
本当に雪葉の発言は先が読めない。

私はわざとうーんと考えるような仕草をして、作り笑顔を作った。

「…一目惚れかな?」

言った後、心の中で全否定している璃雨がいた。

ありえない!!!!!
璃雨一目惚れとか絶対しないし!!

しないけど、しないけど…嘘をつかなければいけないっていうこの状況。

一目惚れした璃雨。

という偽物の璃雨を演じないと。

あ~!!!でもいーやーだー!
一目惚れってあんま好きじゃないんだもーん!!!

「一目惚れ!?璃雨が!!!?」

案の定嘘でしょという視線を送ってくる雪葉。

嘘だけど嘘じゃないのよ、という意味不明な視線を送り返す璃雨。

ある意味の心理戦。

「うん。んで、気になるなぁって見てたら声かけらたみたいな。とにかくかっこいいから。会ってみれば分かるよ!」

う~。璃雨こんな他人の事ほめちぎらないキャラなのに。

くつがえされていく、長年積み上げてきた自分のキャラにおさらば。

紀琉にも口裏を合わせておかなければいけない。

…面倒くさい。
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