契約の恋愛
いつ死ぬかも分からない不安定な約束だけれど…。

紀琉が何かに押し潰されそうになった時、少しでも助けてあげられるように。

…璃雨は自分の感情の変化に正直戸惑っていた。

こんなにも他人を思いやろうとしたのはいつ以来だろう。

紀琉は不思議な力を持ってる。

璃雨のかたくなな心に、風のように静かに入ってくる。

穏やかな笑みで。

「やったぁ!!!!」

突然の雪葉の奇声に、たまらず耳をふさぐ。

「な…なに…。」

「土曜オッケーだって!!璃雨も暇でしょ?」

「…はい。」

「後は紀琉さんだけだね!!璃雨、確認しておいてね。今週の土曜だから!!」

……はい。

のんきに鼻歌を歌う雪葉に呆れた視線を送る。

元気な雪葉。

そんな雪葉に何度が助けられてきたけど…。

…疲れるよね。

私は深いため息をつく。

紀琉に言わないと。
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