契約の恋愛
部活の人達が体を張って出す大きな声が、突き抜けるかのように教室中に響いていく。

「うんっ!!頑張るよ。ダブルデートの件、紀琉さんからきちんと聞いておいてよねっ。」

……忘れてた。

「うん。分かった。」

「じゃあ……。」

そう言って雪葉は璃雨に、意味ありげな視線を送ってくる。

その見覚えのある視線に私はすぐに気付いた。

彼女が何を言おうとしているのか。

「亮也の件は大丈夫だよ。今日見に行ってみるから。」
できるだけ明るく振る舞う。
雪葉は見透かされた事に多少驚きの表情を見せながら、すぐに笑顔に戻った。

「…うん。お願いします!!!ってアタシが言うのもおかしいけど。」

「あははっ。」

「…じゃあ行ってくるね。」
雪葉がつぶやく。

まるで生き別れるカップルのような雰囲気。

違う意味で笑えてくる。
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