契約の恋愛
亮也は、ただ黙って血まみれの男をにらんでいる。

そして、その亮也の周りには数人の男が仰向けに倒れている。

今、亮也に胸ぐらを掴まれている男は最後だった。

そして、陸飛にはこれからこの男がどうなるのか分かっていた。

亮也。

自分の声さえ届いていない友に嘆かける。

現実は、いつも一人のお前を裏切る。

…幸せなんていらないと、ただ平穏なものを求めているだけなのに、お前はいつも逃げられる。

なぁ、亮也。

俺達がずっと支え合ってきた居場所が、赤に染まってるよ。

亮也。

あんなに近くにいたお前が、今は恐ろしく遠い。

遠いんだ。

不意にケータイの着メロが鳴った。

電源を切るのを忘れていたようだ。
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