契約の恋愛
第2章 ~失~

道化と死神

いつか、"あの人"が言った。
屈託ない笑顔で、聞き逃してしまうほどの現実味のない声で。

"璃雨の周りって、自然と何か抱えた奴が集まるんだよなー。"

私はムッとして、彼にむきかけのバナナの皮を投げたんだった。

何それ。

そう言って。

今思えば、"あの人"は自分自身の事も指していたんだと気付く。

人はいつも、失ってから本当の意味を知る。

残念ながら、失ってからじゃないと気付けないものもあるんだ。
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