契約の恋愛
そう思った。

璃雨は、気をひきしめて言葉を続けた。

こんなこと紀琉に言っても意味ないのかもしれない。
雪葉にさえ言っていない亮也の真実を、出会って間もない人間に口にするのは間違っているかもしれない。
けれど、紀琉には何か隠しとおせないような気がした。
言わなければいけないような気がした。

そして、紀琉にはそんな人間の抱える気持ちを理解できる力があると思った。

あのキスの日、忘れないでと言った紀琉を間近で見たからだろうか。

璃雨の中で、紀琉に対する見る目が明らかに変わった。
紀琉に、甘えができてしまったのかもしれない。



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