契約の恋愛
《璃雨は、どうしたいんですか?》

紀琉の口調は相変わらず優しいけど、どこか冷めているようだった。

なんとなく、突き放されたような。

「…どうしたい…。とにかく、その友達が数日間何をしてたか知りたくて。後で電話してみるつもり…だけど。」

《そうじゃなくて》

……?

《璃雨は、その傷を受け止められる程の覚悟はあるの?》

…か、くご…。

《俺は、璃雨の事が心配。璃雨は自分でも気付いてないかもしれないけど、自分の傷と他人の傷を両方とも受け入れてる。だから、璃雨には何かわ抱えた人間が寄ってくる》

「…そんなこと。」

反論しようとして、言葉を止める。

いつか"あの人"も言っていた。

璃雨には、そんな人間が寄ってくる、と。

そして言ったんだ。

"璃雨は、強がりだから強く見えちゃうんだよなー。だから、いつかそんな奴らの傷をお前が受け止める日がくるかもしれない。でも、璃雨は自分の事でも本当は精一杯だろ。だから、何かあったら真っ先に俺に相談しろよな。"
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