契約の恋愛
…やめて。

心の中で叫ぶ。

やめて、お母さん。璃雨の前でそんな姿見せないで。
そんな切実な璃雨の心の声も届かないまま、母は男に抱きつく。

すると男がそんな母の体をおもいっきり突き飛ばした。
突然の事で、璃雨もしりもちをつきそうになる。

「ふざけんな!!あんたにはちゃんとした家庭があるだろ!!?どうして、それを投げ出そうとする!?」

男は、今まで聞いた事もないような大きな声で母を怒鳴る。

それはまるで、自分自身にもいいきかしているような芯の強い声だった。
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