契約の恋愛
「子供の事も考えてあげろよ!!璃雨ちゃんの事を。あんたがこんなことしただなんて知ったら、璃雨ちゃん悲しむだろ!?ばれなきゃいいなんていういい加減な事思うな。母親なんだから。」
母は深くうつむいて、うたっている。

その表情は見えない。

「璃雨ちゃん、何回か見たけどいい笑顔してた。あんたそっくりの綺麗な顔してた。あの笑顔守る為にも、自分を汚そうとしないでほしい。俺は、何もかも失ったけど一人、大切な兄弟が残ってる。だからあんたの為に、体は許せない。俺も頑張るから…。」

男は一呼吸おいて、吐き出すように告げる。

「あなたも、頑張ろう。」

そう言って、男はすたすたとこっちへ向かってきた。
とっさに逃げようとしたが、足が動かない。
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