契約の恋愛
「……っ!」

私は、おもいっきり布団をはいで勢いよく起き上がった。

額にはわずかに汗がにじみ、鼓動もかすかにあがっている。

私は挙動不審に部屋を見渡し、カーテンのすきまから見える太陽の光に目を細める。

…夢…か。

あまりにリアルな夢だったがために、現実に帰ってくるのにも時間がかかる。

璃雨はふぅーと長い深呼吸をして、ベッドから下りた。
カーテンを開け、窓を開ける。

…久しぶりだった。

あの夢を見たのは。

6年前、璃雨が偶然見てしまった大人の汚い所。

母の信じがたい姿を見た後璃雨は、何度か家出を繰り返した。

母は、私にあの光景を見られたことは知らなかったから、強がりなのか璃雨の前では普通だった。

それが余計に気まずかった。
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