契約の恋愛
母の顔をまともに見れなくて、この優しいお母さんは偽りの人間なの?と疑い初め、とにかく家にいるのが苦しかった。

だから、勝手に友達の所に泊まりに行ったりと、とにかく家自体を拒んでいた時期があったのだ。

とにかく、苦しかった。

そして、あの時出会った男とは、あれから顔も合わせていないので顔も覚えていない。

夢では覚えているかもしれないが、現実に戻ってくるとすぐに忘れてしまう。

でも、どこかで見たことがある人。

それだけは、分かっていた。

「…どうしてるのかなぁ、あの人…。」

窓越しで、ポツリと呟く。
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