契約の恋愛
璃雨はクロワッサンをちょびっとかじって静かにうなづいた。

頭の中はどこか上の空で、何も入ってこない感じだ。
今日は特に。

授業なんて聞く気もしなかったから、ずっとボーッとしていた。

もちろんの事、ノートなんてとってないから後で雪葉のをコピーさしてもらうつもりだ。

「…でさ。って、璃雨っ!璃ー雨ー!!」

「…!…あぁ。何?」

完全上の空モードに入っていた璃雨は、雪葉の話もまともに聞けていない。

案の定、雪葉は怪訝な表情を浮かべ私を見ている。

「…何じゃないよ。どうしたの、璃雨。今日ずっと様子おかしいし。」

顔色も悪いし、と雪葉は後から付け足した。

昨日からほとんど食べ物を口にしていないんだ。

食欲も全く起きない。

ただでさえ低血圧で、極度の貧血なのにこれじゃ、顔色が悪くなっても仕方ないかもしれない。
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