契約の恋愛
地面に手を突き、空を見上げる。

後で制服が汚れちゃったしゃないと琉衣に怒られても…もう別にいいか。

兄貴は俺だし。

そう思い、俺は地面に座りこむ。

「絶対無理だと言われた大学に受かった奇跡の男にも、悩みはあるわけよー。」

恵流はわざとらしく両手を顔にあてて泣き真似をする。

こいつは何歳になっても、幼稚園児だ…。

全く発達しない恵流の精神年齢に多少哀れみを抱く。
「…今更かよ。勉強ついていけないとか?」

そんな平凡な悩みは他人には簡単には言わない奴だとは知っていたが、一応聞いてみた。

すると、恵流は素早く突然起き上がった。

俺は反射的に、身構える。
恵流は必死な目付きで、俺に顔を近づけてきた。

「聞いてくれる?紀琉。」

その目があまりに真剣だったゆえに、俺は無意識に何度もうなづいていた。

てか、顔ちかい。

俺は、バッと顔をそらす。
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