契約の恋愛
そんなことお構い無しで、恵流は熱く語りだした。

俺は、やけに真剣な恵流の表情を見てどんな悩みなんだと、それなりに聞く体制をとっていた…のに。

恵流の口から出てきたあまりにバカげた話に、肩が落ちそうなほどに肩を落とした覚えがある。

恵流は熱い眼差しでこう語りだした。

「…実はさぁ。」

「……うん。」

「俺の通う大学の通学途中によー。」

「……うん(疑いかけ)」

「いっつも通りかかる人がいるわけよ。」

………。

「その人がすんごい美女なわけ!ヤバイよ、あれ。色真っ白で、長い黒髪で、大きな瞳に。とにかく可愛いんだよ。」

………。

「いっつも通りがけにその人見るんだけどさー。何か見るだけで幸せな気持ちになるんだよなー。」

………。

「んで、いつものように大学行ってたら…。ビックリ!!その人…。」

………。

「子連れだったんだよ!!。」
< 215 / 236 >

この作品をシェア

pagetop