契約の恋愛
彼女が、愛した男…。

そして…。

……今も……。

きっと君は、見えない影を追っている。

もう二度と永遠に叶うことのない願いを、光の届かない場所で…ずっと…。

そんな君を、無理矢理引き止めようとしている俺は…君に酷なことをしているのだろうか。



8年前

草抜きが終了した後、俺達は建物の中に速やかに戻った。

場所が場所なので、遅刻にはうるさい。

出来れば、今すぐ出ていってもいいくらいだが。

琉衣が、額にわずかに汗を滲ませながら、両手をうちわ代わりにパタパタしている。

俺はそんな琉衣を横目で見て、口を開いた。

「お前…どんだけ頑張ってんだよ。」

いくら5月の末とも言えど、汗をかくくらいには動いていない俺は、不思議そうに訪ねた。

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