契約の恋愛
「雪葉っ。」

片手にもっていたペットボトルを危うく落としそうになりながらも、私は意を決して本題を切り出した。

「んー?」

…意外に大食いの雪葉は3つ目のパンをくわえている。
いかにも能天気なその姿を見て少し安心した。

「あのね…。」

「うん。」

「璃雨ね、実は…彼氏ができたの。」

………十秒経過。

………三十秒経過。

………一分経過。

………。

「うそっっっっ!!!!?」

おそっっ!!!!!

完全にパニくった雪葉は、パンをのどにつまらせてしまい、案の定苦しそうにしていた。

完全にいつもの雪葉ママじゃない。

逆の立場にたった私は、そんな雪葉を黙って見守る。
「ゴホッ。なに?なんかの冗談っ?」

「…残念ながら冗談ではありません。現実を受け止めてください。」

革命が起きたといわんばかりの雪葉の驚き振りを目の前にして、自分がどれくらい長い間男という男を否定し続けてきたのか良く分かる。

私は乾いたのどを潤すために、ペットボトルの水を流しこんだ。

6月が過ぎればもうすぐ夏だ。
暑苦しくて嫌いな季節。

「いきなり過ぎて話読めないんですけど。い…いつから?」
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