契約の恋愛
「…大げさすぎ。別にお前が心配する事じゃないし。」
「あーあ。何か俺、置いてけぼり。亮也も璃雨も何も言ってくんないもん。」

子供のように膨れる陸飛を見ると、どこか安心する。
亮也は静かにフェンスから手を降ろした。

「知らなくていい事も世の中あんだよ。お前はそうやって能天気に笑ってろ。」
そう言って陸飛に背をむける。

「なんだよそれー。あっ、今日課題写さしてもらっていい?」

「ざけんな。ワカメみたいに日干しにすんぞ。」

「えー(涙)」

陸飛が自分の後ろをついてくる足音が聞こえてくる。
やがて、陸飛のわめく声で嫌いな音も聞こえなくなった。

君にも、こんな穏やかな時間がいつか訪れますように…。
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