ずっと抱いてて
 それぐらいだったら、いっそのこと部屋で会うに留めておけばいいし、実際そっちの方が賢明なのだった。

 
 そしてボクたちは時が経つのも忘れ、性行為に勤(いそ)しんだ。
 

 淡々と時間が流れ、あっという間に夕刻になる。


 愛海がベッド上でぐったりとなっていると、ボクが、


「大丈夫?」


 と訊いてみた。


 半分は鎌を掛ける意味で、だ。


「ええ、何とかね……」


 ボクも疲れきっている愛海にそっと寄り添い、互いにベッド上で横になって寛ぐ。


 シーツには愛海の使っているシャンプーの残り香が移っていて、漂ってきた。


 ボクはそのにおいを嗅ぐに連れ、


“今一番大事なのは、愛海を守ることだろうな”


 と思っていた。


 実際に目の前で彼女はボクにすっかり懐(なつ)いている。


 恋人同士でこれ以上いい関係はない。

< 72 / 108 >

この作品をシェア

pagetop