ずっと抱いてて
「はい」


 ――あ、大嶋祐太さんのお電話でしょうか?


「ええ。……私に何か?」


 ――つい先ほど、あなたがお付き合いされていた高梨愛海さんが息を引き取られました。


“……”


 聞かされたとき、確かにボクは躊躇い、戸惑った。


 つい先日まで普通に会っていた彼女が死んだというのだ。


 ――交通事故でしてね。この雨で路面がスリップしやすくなっていたらしく、悠洋大の学生のバイクに跳ねられたらしいんですよ。


「……」


 やはり言葉に詰まる。


 そしてその後、大きく息を吸い込み、


「愛海に会ってもいいんですか?」
 
< 98 / 108 >

この作品をシェア

pagetop