Secret Prince
「…………そうか。」




彼は、一時思案したようだったが、徐に、俺の頬に手を伸ばした。
俺は、幼いながらに、その手に、恐怖を抱く事は無かった。
何となく、本当に直感だが、この人は悪い人じゃない。
不思議と、俺には、そう思えたから。
俺は喜んで、見知らぬ男の、向けられる手を受け入れた。
































「俺が、連れ出してやろうか?」



そう言って、反対の手もゆったりとした動作で伸ばし、俺の頬を包み込んだ。
俺の頬をすっぽりと包めるくらい、大きな手。
温かくて、……それに、優しい手だ。
俺は、気付いた時には、コクリ、と頷いていた。
この地獄から連れ出してもらえるなら、これほど嬉しい事は無い。
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