盲目の天使
「尊大な足音か・・」
・・なんという無礼な事を!
オルメは、はらはらしながら、カルレインとリリティス、二人の顔を、交互に見ていた。
低い声を出して呟くカルレインの様子は、怒りをためているように思える。
が、オルメの予想に反して、カルレインは、大声で笑い出した。
「リリティス!うまいことを言うな。
尊大な足音か。あはははは!」
リリティスもルシルも、一緒になって楽しそうに笑っている。
オルメは、一人、目を丸くして、その様子を眺めた。
カルレインは、非常に気位の高い男だ。
今まで自分以外の人間が、こんな態度をとったら、怒りを買って、大変なことになっていただろう。
オルメは、カルレインに無礼な物言いをして不興を買った、大勢の女たちを思い出していた。
リリティスならば、カルレインの心に、添えるかもしれない。
くったくなく、無邪気に笑うカルレインの様子に、オルメも、笑みがこぼれた。