盲目の天使

ひとしきり笑うと、部屋の中には、穏やかな空気が流れる。


「そういうわけですから、オルメ。

今回は、カルレイン様をお叱りにならないでください。

次回は、きっと、侍女の優雅な足音の後ろから現れてくださいます」


リリティスは、涼やかな声で、オルメに話しかける。

その声は、不思議と人を和ませて、落ち着かせる力を持っていた。


「わかりました。リリティス様がそうおっしゃるなら」


オルメはにっこり笑って、カルレインの方へ向き直った。


「礼儀を改めていただけますそうで、ありがとうございます」


カルレインは、うっ、と言葉に詰まると、人差し指でこめかみを掻いた。


「オルメ。お前はいつの間に、リリティスの味方になったんだ」


すかさず、オルメは切り替えす。


「私は、正しい秩序の味方でございます」


オルメの冷静な声がおかしくて、リリティスは、ぷっと吹き出した。



< 103 / 486 >

この作品をシェア

pagetop