盲目の天使
ひとしきり笑うと、部屋の中には、穏やかな空気が流れる。
「そういうわけですから、オルメ。
今回は、カルレイン様をお叱りにならないでください。
次回は、きっと、侍女の優雅な足音の後ろから現れてくださいます」
リリティスは、涼やかな声で、オルメに話しかける。
その声は、不思議と人を和ませて、落ち着かせる力を持っていた。
「わかりました。リリティス様がそうおっしゃるなら」
オルメはにっこり笑って、カルレインの方へ向き直った。
「礼儀を改めていただけますそうで、ありがとうございます」
カルレインは、うっ、と言葉に詰まると、人差し指でこめかみを掻いた。
「オルメ。お前はいつの間に、リリティスの味方になったんだ」
すかさず、オルメは切り替えす。
「私は、正しい秩序の味方でございます」
オルメの冷静な声がおかしくて、リリティスは、ぷっと吹き出した。