盲目の天使
笑われたのが、自分だと察して、カルレインは、即座に抗議する。
「笑うな、リリティス」
「申し訳ございません。
ですが、カルレイン様は、本当にオルメに頭が上がらないのですね。
すねていらっしゃるカルレイン様も、とても、おかわいらしいです」
リリティスが堪えきれずに、おかしそうに笑うのを見ると、
ルシルも我慢できなくなって、くすくすと笑い出した。
「この俺を、かわいらしいだと?
まったく、皆で、リリティスの味方か」
口ではそういいながらも、カルレインの頬は、緩みっぱなしだ。
リリティスが、こんなに笑ってくれるなら、悪くない。
ノルバス城の中で、微妙な立場にたたされているリリティス。
不安がっているよりは、自分を引き合いに出して、笑ってくれた方がよほどましではないか。
カルレインは、リリティスの笑顔が見られて、ほっとしていた。