盲目の天使
「カルレイン様は、最近、侍女の取次ぎを待てるほど、忍耐力がつかれたとか」
時々、侍女の取次ぎを無視して、部屋に入ってくるカルレインに、オルメが皮肉たっぷりに言う。
「勘弁してくれ、オルメ。確かに時々乱暴に部屋に入ってきているが、
それは、リリティスに至急の用事があってだな」
「なるほど。確かに、愛する姫様に、美しい花を摘んできたり、細かい細工の髪飾りを送ったり、新しい衣を仕立てたり・・・、
侍女の取次ぎを待てないほどの、至急の用件ですわね」
オルメの隙のない反論に、リリティスもルシルも、口元を押さえて笑いを堪えている。
部屋の隅に控えている別の侍女たちも、この頃では、
すっかりカルレインに親しみを覚え、同じように笑いを堪えていた。
リリティス様がいらっしゃってから、
侍女たちも前ほどカルレイン様を恐れなくなったわ。
オルメは、この様子を見ながら、心の中でつぶやいた。