盲目の天使

冷酷無比というのがぴったりで、誰にも心を開かなかったカルレイン。


彼が、王として真に、ふさわしいのかどうなのか、

オルメは、乳母として、自分の育て方が何か間違っていたのでは、とずっと不安だった。



もともとは、おやさしい性格の方だったのだもの。

皆、それを忘れていたのだわ。

そう、この私でさえも・・・。

それを思い出させてくださったのは、リリティス様。



堪えきれなくなって、吹き出した、リリティスの柔らかな笑顔を見て、

オルメは、心に明かりが灯ったような気がした。


冷酷なだけの王には、誰も従わない。

しかし、最近のカルレインは、次代の王としての資質を、静かに備え始めているように見える。

人々に慕われる、才覚ある王へ。


オルメは、カルレインを誇りに思うと同時に、

リリティスに深い感謝を覚えていた。



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