盲目の天使

ところで、と、カルレインが話題を変えた。


「毎日部屋の中では息が詰まるだろう。

庭を散歩してはどうだ?リリティス」


本当は、自分が連れ出してやりたいのだが、カナンの扱いについてなど、残務処理に忙しく、

なんとか暇を見つけ出して、リリティスの部屋を訪れるのが精一杯だ。


「え?よろしいのですか?私は、捕虜の身分ですのに」


リリティスは、ただ、素直に、自分の立場を述べただけだったが、

カルレインは、自分を捕虜だという、その言い方が気に入らなかった。


そんな風に、己を卑下するような態度を、とらせるような扱いをしたつもりは、毛頭ない。


初めて出会った時のことなどすっかり忘れて、カルレインは不機嫌になった。


「リリティス。前にも言ったが、俺はお前を妻にする。

妻を捕虜だなどと、公言するつもりはない」


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