盲目の天使
いつの間にか、侍女たちは皆退出して、部屋の中には、2人きりになっている。
カルレインは、リリティスの顔を、自分の胸に埋めるように抱くと、
その銀髪をゆっくりと撫でながら、囁いた。
「リリティス。お前は、俺がカナンに火をつけると言ったせいで、俺のことを信用できないのではないか?」
リリティスは、しゃくりあげながら、肯定も否定もしない。
「あの時は、あんなことを言ったが、あれは嘘だ。俺は、カナンに火をつけるつもりなど、元からなかった」
「な・・ぜ、ですか?」
泣きながら、ゆっくりとリリティスは問いかける。
「カナンには、天使がいるからな」
「天使、ですか?」
「そうだ」
カルレインは、リリティスの背中を、撫でるように、やさしく触れている。