盲目の天使
思うがままリリティスを堪能したカルレインは、やがて唇を離すと、満足げにつぶやいた。
「リリティス。お前の唇は、どうしてこうも甘いのだろうな。あまりに甘くて、我を忘れそうになる」
リリティスは、その言葉に返事をせず、自分の掌で、唇を隠すようにしている。
「オルメ・・・」
私、どうすればいいの?
人前でカルレイン様と口づけるなんて・・・。
きっと、カルレイン様が私の味方をしていると言われて、お立場が悪くなるわ。
ただでさえ、毎日部屋まで顔を出してくださって、贈り物までいただいているのに。
自分の立場ではなく、あくまでカルレインの立場を気にして、
リリティスは、人前ではカルレインとの男女の仲を見せてはいけないと、そう考えていた。
今にも泣きそうに、侍女を呼ぶリリティスの声を聞いて、カルレインは、罪悪感が芽生えた。
今まで、ただの一度も、感じたことのない、その感情。