盲目の天使

どうしても、一言文句を言わないと、気がすまない。


「カルレイン様は意地悪です。なぜ毎回、私をいじめるのですか?」


潤んだ瞳で、かすれた声を出すリリティス。

頬を膨らませる様子を見て、カルレインは微笑んだ。



あきれたと言ったが、やはり、怒ったか。

しかし、その様子がまた可愛いのだが・・・。



「いじめているわけではないが、

お前が私の言葉や行動に、いちいち初々しく反応するのがいけない」


「まあ!」


リリティスのあきれ顔を見て、カルレインはまたもや、気分が高揚する。


初々しく反応しているのは、リリティスではなく、自分の心かもしれない。

心の奥底から、自然に染み出してくる、リリティスへの想い。


自分にそんな感情が眠っていたことが、カルレインには信じられなかった。

あるいは、それは、リリティスによって、創り出されたものかもしれないが。


< 117 / 486 >

この作品をシェア

pagetop