盲目の天使
どうしても、一言文句を言わないと、気がすまない。
「カルレイン様は意地悪です。なぜ毎回、私をいじめるのですか?」
潤んだ瞳で、かすれた声を出すリリティス。
頬を膨らませる様子を見て、カルレインは微笑んだ。
あきれたと言ったが、やはり、怒ったか。
しかし、その様子がまた可愛いのだが・・・。
「いじめているわけではないが、
お前が私の言葉や行動に、いちいち初々しく反応するのがいけない」
「まあ!」
リリティスのあきれ顔を見て、カルレインはまたもや、気分が高揚する。
初々しく反応しているのは、リリティスではなく、自分の心かもしれない。
心の奥底から、自然に染み出してくる、リリティスへの想い。
自分にそんな感情が眠っていたことが、カルレインには信じられなかった。
あるいは、それは、リリティスによって、創り出されたものかもしれないが。