盲目の天使
「そんな風に、あきれる様も可愛いし、さっきのようなふくれっつらも可愛い。
にこにこ笑っている様も可愛ければ、笑いを堪える姿も可愛い。
それから・・・」
カルレインは、そこで言葉をとめて、リリティスの唇に音をたてて口付けた。
とたんに、リリティスの顔が、りんごのように真っ赤に色づく。
「照れて赤くなるところは、最高に可愛いな」
顔を隠そうとするリリティスの両腕を絡めとり、やさしく抱きしめた。
疾風の黒鷲と異名をとるこの俺が、9つも下の姫に溺れるとは、な・・・。
クスクスと笑いながら、リリティスの様子を、愛しそうに見つめて、
カルレインは、母親が生きていた頃と同じような幸せを感じていた。
そうだ、幸せ。
こんなにも気分がいいのは、俺が、幸せを得たからだ。
ずっと忘れていた、大事なこと。
人を、
愛するということ・・・。