盲目の天使
「あの、ご迷惑でなければ、ここで一緒にお昼を食べませんか?」
アルシオンの突然の誘いに、リリティスは、少し戸惑った。
カルレインはともかく、ノルバス国の王族と気軽に付き合っても良いものなのか。
だが、断って気を悪くされるのも問題があるように思える。
リリティスは、判断に困って、口をつぐんだ。
「アルシオン様。
申し訳ございませんが、今日の昼はすでに予定が入っておりますので、また今度お誘いいただけないでしょうか?」
リリティスの困惑を察して、オルメが、やんわりと断りを入れた。
「そうですか。それは残念です。では、今度はぜひご一緒してください」
アルシオンは、がっくりと肩を落として、寂しそうな声を出す。
なんだか、カルレイン様とは、ずいぶん雰囲気が違うような・・・。
隠すことも、歪めることもなく、まっすぐに気持ちを表に出す。
アルシオンの物腰の柔らかい態度のひとつひとつを、リリティスは、とても好ましく感じた。