盲目の天使
木漏れ陽がそっと降り注ぎ、そのやさしい温かみを感じて、
リリティスは、自然に微笑している。
アルシオンは、そのほっそりとした横顔に見とれながら、ふと疑問を口にした。
「そういえば・・、
先ほど、私の姿は見えないはずなのに、
どうして木の陰に隠れているのが、わかったのですか?」
あぁ、と頷きながら、リリティスの口元が緩んだ。
「それは、風のおかげです」
「「風?!」」
ルシルが思わず出した声が、アルシオンの言葉に重なる。
「も、申し訳ございません」
ルシルは、はっとして、自分の口を手でふさぎ、頭を下げた。
侍女が、主の会話に割り込むものではないと、きっとオルメに大目玉をくらうに違いない。
ルシルがちらりとオルメを盗み見ると、ぎょろりとした細い瞳と目が合った。
三角につりあがって、こちらをにらみつけている。
はぁ、とルシルは、小さなため息をついた。