盲目の天使

その様子に気づいたのかどうか。


「謝らなくてもかまわないよ。君もリリティス様の言葉の意味が気になるよね。

教えてもらえますか?リリティス様」


アルシオンは、一度ルシルへ視線をやってから、窺うようにリリティスを見つめる。


「あの・・、リリティスと呼び捨てていただいて結構です」


こういうところが、カルレインの弟とは思えない、とリリティスは密かに思った。

控えめで、相手を気遣うことに、心を砕いている、とでも、いうのだろうか。


「なら、私のことも、アルシオンと呼び捨ててください」


明るすぎるほどの、アルシオンの声。


「でも・・・」


ノルバスの王子を、気軽に呼び捨てて、良いのか。

ためらうリリティスの背中を押すように、アルシオンは、すばやく言葉を継いだ。


「かまいません。それより答えが気になる。

風のおかげとは、どういう意味です?」


リリティスの不思議な言葉が、アルシオンは気になって仕方ない。

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