盲目の天使
「あっと、お別れの前に、もう一つ聞いてもかまいませんか?」
去りかけたアルシオンの足が、もう一度リリティスの方を向く。
「どうぞ」
「リリティスは、おいくつですか?」
「私は15で・・・あっ、明日で16になりますわ」
怒涛のように過ぎていく日々の中で、
リリティスは自分の誕生日のことを、すっかり忘れていた。
気づいたところで、なんということもない、
はずだったが・・・。
「それじゃあ、明日が誕生日ですね!それはおめでとう!
では、明日、ぜひあなたの誕生日を祝わせてください」
「え、でも・・・」
リリティスは、言いよどんだ。
今の自分の立場を考えれば、誕生日を祝うことなど、出来るはずもない。
困ったわ。カルレイン様は私を捕虜ではないと、言ってくださったけれど、
そんなことをすれば、周りの反発にあうのではないかしら・・・。