盲目の天使
同じ頃、ノルバス国の議場は、緊迫した空気に包まれていた。
『それで、死傷者の数は、把握できているのか?』
『わからん。混乱していて、現状が把握できず。
早馬を飛ばしているが、かなりの犠牲がでたのではないかと・・・』
『一体なぜ落盤が起きたのだ』
『あの採掘場は、貴重な鉱石がとれるところだ。どのくらいの損害が出るのか』
『こうなる前に、なんとか防げなかったのか!』
『私は、前から注意を促してあったぞ』
大臣たちは、口々に怒鳴りあい、喧々囂々(けんけんごうごう)たる有様だ。
ノルバス国の鉱山で落盤があり、大勢の鉱夫が、命を落としたとの知らせが届いたのは、
昼近くのことだった。