盲目の天使

「もういい。俺が現場に行こう」


カルレインの低い声に、議場は一瞬にして静まり返る。


「皆の言うとおり、タザトットは重要な採石場だ。

我が国の武器や武具は、主にタザトットで取れる鉱石で作られている。

だが、それ以上に、働いている大勢の鉱夫たちの命も重要だ。

ここで、長々と議論を続けていれば助かるはずの命も助かるまい。

俺が軍を率いて救援に向かう」


その荘厳な空気感に、誰も口を挟めない。

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