盲目の天使
コウガイは、ノルバス王であるプロンが、頭の上がらない、数少ない人物だ。
民から愛され、重鎮の一人として、大臣たちからの信頼も厚い。
勇猛果敢なだけでなく、頭も回るので、政事の要でもある。
プロンは席から立ち上がると、重々しく口を開いた。
「カルレイン」
「はい」
「コウガイ将軍とともに、タザトットに向かい、指揮を取れ。
鉱山の復旧も、もちろんだが、民の命を第一に救援に当たれ」
「はっ!」
カルレインは、王に膝をおると、そのまま踵を返して、議場を後にした。
そのすぐ後ろを、コウガイが続く。
まるで、王の後ろに、コウガイが付き従っているかに見える。
『王の威厳が備わっておりますな・・』
『やはり、次代の王は、カルレイン様か?』
大臣たちの小さな声を、プロンは苦々しい思いで、聞いていた。