盲目の天使
月が天井に差し掛かった頃、リリティスは、部屋のベッドに腰掛けていた。
すでに侍女たちは下がり、後は横になって眠るだけで一日が終わる。
今日は、カルレイン様がいらっしゃらなかった・・。
ノルバスに来て以来、毎日必ずリリティスの部屋を訪れていたカルレインが、
今日は、なぜか姿を見せない。
何かあったのかしら。
もしや、私に会うのが、お嫌になったのかしら。
たった一日、会わないだけなのに、リリティスはカルレインの声が聞けなくて
気分が沈んでしまった。
こんなにも、カルレインに依存してしまうなど、自分はどこか、おかしいのではないか。
初めての恋は、楽しいことも、苦しいことも、全て初めてのことばかりで、
リリティスは、深いため息をついた。
人を好きになるということは、楽しいことばかりだと思っていたのに。
こんなに、不安なものだとは、想像もしていなかった。
それとも、これは、国の事情が絡んだせいで、特別なことなのだろうか。
普通の恋人たちは、自分のように、声が聞けないだけで、胸がつぶれそうになったりするのだろうか。