盲目の天使

リリティスが横になった頃、

人の気配を感じた扉の向こう側には、

入室をためらって立ちすくむ一人の男がいた。

今しがた、リリティスの思考を占めていた男--カルレインだ。



リリティス。出発の準備が長引いて、とうとう会えなかった。



眠っている姿でもいいので、一目会いたいと思ったものの、

寝ているリリティスの部屋に忍び込んだと知れたら、

オルメから“狼”の烙印を押されてしまうに違いない。



しばらく会えなくなってしまうな・・・。



明日は、早朝の出発だ。

出かけに会うのは、無理だろう。


カルレインは、早朝の出発に備えて仮眠をとるため、

寂しさをまぎらわすように、足早に自分の寝室へと歩いていった。










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