盲目の天使

朝日が窓から顔を出す頃、部屋の中では、元気の良い挨拶が響いていた。


「おはようございます!リリティス様」


ルシルが、リリティスの部屋に入ると、リリティスは、すでに起きていた。


「おはよう。今日はいいお天気ね」


毎朝、一番にするのは、その日の天気の話題だ。


「本当に、リリティス様は目が見えないのに、よくお天気が分かりますね」


ルシルは、感心してリリティスの顔を見た。


「鳥の鳴き声が、たくさん聞こえたから。

雨の日は、雨の降り方によって、聞こえる音が、まったく違うのよ」


カナンにいた頃とは、聞こえる鳥の泣き声がずいぶん違うから、

きっと、鳥の種類が違うのでしょうね、

と、リリティスは付け足しながら微笑んだ。










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