盲目の天使
しかし、カルレインの台詞は、リリティスの不安を誘うようなものではなく、混乱を招くようなものだった。
「残念ながら、兵士の中に、女はいない。
街は、騒然としていて、今すぐ侍女を見繕うのは、困難だ」
「はい」
「だから、俺が着替えさせてやる」
着替え?
一体、何の話をしているのだろう。
リリティスは、カルレインの言葉の意図がつかめず、無言だったが、
しばらくしてから、はっと気づいて、大きな悲鳴を上げた。
「きゃあ~!!」
そうだわ。
私、今朝はまだ着替えてない!
とたんにリリティスは、両腕を交差させて、胸を隠すような仕草をした。
目を閉じて、俯くが、赤い顔は、ごまかしようがない。
男性と話すことでさえ、めったにないことなのに、夜着のままでいたなんて!