盲目の天使

「ルシル、静かにしてちょうだい」


リリティスは、ゆっくりと杖をついて、少しずつジルの方へと歩み寄る。


オルメも、ジルを間近で見たのは初めてだったため、恐怖心を覚えた。

よくもまあ、こんな獰猛な生き物を飼っているものだ。


しかし、リリティスは、躊躇せずオークリーに近づくと、口を開いた。


「ジル。手紙を届けてくれて、どうもありがとう。

私も、カルレイン様に手紙を書いたの。どうか、届けてくださいね」


そう言って、静かに右手を上げた。


「リリティス様!」


リリティスが、怪我をするのではないかと思い、オルメは制止させようとしたが、

次の瞬間、ジルは、リリティスの肩に、ひょんと飛び乗り。


「あっ!」


予想していなかったジルの重みで、リリティスの体がぐらりと傾いだ。



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