盲目の天使
「あぁ、わかった」
にやりと笑ったカルレインの表情に、目の見えないリリティスは気づかない。
部屋を出て行ってくれるのだと思い、肩の力を抜いた。
だが、離れていくと思ったカルレインが、自分の肩に手を置いたのに気づいて、リリティスは心臓が口から飛び出るかと思った。
「あ、あの、何をなさるのですか?」
「ん?着替えるのだろう?」
涼しい口調で、カルレインは答える。
「い、いえ、自分で、自分で着替えられますから」
リリティスは、カルレインの大きな手を必死で押しやる。
「別に、遠慮することはない。妃になる娘の裸を見たところで、誰も咎めはしない」
意地の悪いことをしていると、自嘲しながらも、リリティスをもっと恥ずかしがらせたくなって、カルレインは、肩紐に指をかけた。