盲目の天使
リリティスの唇は、カルレインのそれへは届かず、
その少しわきにそっと触れて、そのまますぐに離れた。
一瞬のことで、カルレインは、何が起こったかわからなかった。
ただ、唇の横に、感じた柔らかい感触と、自分の体よりもわずかに高い熱が、全身を駆け巡る。
毒のように、体中をおかして。
「リリティス・・」
カルレインに名前を呼ばれて、リリティスは、自分の取った行動にはっとした。
「すみません、私・・・」
急いで、体を遠ざけようとするリリティスを、
カルレインは、力を込めて、腕の中にとどめた。
「なるほど。俺は誘惑されているのだな」
カルレインのからかうような口調に、リリティスは、一瞬で真っ赤になる。
「ち、違います!」